アジアの古代文字(2023)

「古代エジプト文字とロゼッタストーン」「楔形文字とベヒストゥーン碑文」「ミャンマーの各種古代文字とミャゼディー(ラジャクマール)碑文」…断片的な文字情報から古代の言語の姿を明らかにするという研究は、「古代文字の解読」として、広く知られる言語学的成果です。本邦では、研究者によって多くの「解読」が試みられ、一般向けの書籍も数多く出版されており、関心の高さがうかがえます。
 しかし、「言語の研究」と「文字(そのもの)の研究」は本来分けられるものです。言語の研究とはまた別に、文字や字形に関する研究も進展しています。こうした研究も各地の研究者によって進められています。それぞれの専門家による、最新の研究紹介を行う場として、本展示が企画されました。
 東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所既形成拠点GICAS(アジア書字コーパス拠点)は、アジアの貴重な文献・書籍の収集に努めるだけでなく、文字そのものに関わる研究も継続してきました。本企画展「解読!アジアの古代文字(2023)」では、GICAS、アジア・アフリカ言語文化研究所文献資料室などが所蔵する、アジアの各種文字資料、古代文字とその解読に寄与した書物などを紹介します。さまざまな言語・文字に溢れたアジア世界、そして知的好奇心を刺激する、文字研究の一端を知っていただければ幸いです。
 最後になりましたが、開催にあたり貴重な資料をご出品くださったご所蔵先をはじめ、展示会の実現にご尽力いただきました皆さまに深く感謝申し上げます。

※本展示は、新型コロナウイルスの状況を鑑み、当初予定の会期・規模を縮小し、感染症対策を講じて開催した2021年度の展示を、本来予定していた様態で開催するものです。

2023年11月
アジア·アフリカ言語文化研究所 所長 近藤 信彰
既形成拠点GICAS 代表 荒川 慎太郎


※なお、本展示は、AA研基幹研究「アジア·アフリカの言語動態の記述と記録:アジア·アフリカに生きる人々の言語·文化への深い理解を目指して」(DDDLing)の主催、AA研共同利用·共同研究課題「アジア文字研究基盤の構築(3) ―文字研究術語集の構築― (jrp000283)」・AA研既形成拠点GICAS「アジア書字コーパス拠点」の監修によるものです。